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【入湯記】【熊本】湯の児温泉 福田共同浴場(旧竹下共同浴場)

不知火に沈む夕日が美しい、鄙びた湯小屋の共同湯

✔ 海沿いの鄙びた湯小屋の共同浴場

✔ 源泉間近の新鮮湯をかけ流しで

✔ 入浴料は備え付けの料金箱へ200円

✔ 営業は15:00~19:00までの4時間限定

熊本県の最南端に位置し、県境を鹿児島と接する水俣市(みなまたし)は、西に不知火海(八代海)を望み、古くから漁業の盛んな土地として知られてきました。

明治の終わり頃、隣接する鹿児島県伊佐市に建設された曽木発電所(そぎはつでんしょ)から送られる膨大な電力を利用し、窒素肥料を生産し始めたことが水俣を巨大な企業城下町へと発展させ、同時に不知火海を含む周辺環境を少しづつ汚染し始めます。その結果、数十年を経て姿を現したのが、あの水俣病です。

長く、厳しい公害の歴史を超え、海の浄化が進んだ現在は、環境モデル都市として往時の穏やかな姿を取り戻し、多くの観光客を迎える水俣。不知火海に沈む夕日や、湯の児地区に広がる桜並木などの美しい風景、そして名物のタチウオや、海に面した山間に広がる「湯の児スペイン村・福田農場」(ゆのこすぺいんむら・ふくだのうじょう)の柑橘類など、様々な海山の恵みが訪れる人々を饗しています。

閑話休題。温泉に話を戻しましょう。

ここ「湯の児温泉」(ゆのこおんせん)は、水俣市に二つある温泉地のひとつで、景行天皇(けいこうてんのう)が九州行幸の折に発見したとされ、その湯がぬるかったことから「これは湯の子(児)である」と仰せになったと、その名の由来を伝えています。

大正の頃から積極的な開発が行われ、現在では浜沿いに数件の旅館・ホテルが立ち並ぶ風光明媚なリゾートとして知られる湯の児温泉ですが、ここに一件の共同浴場があることは意外と知られていません。

それが、今回ご紹介する「福田共同浴場」(ふくだきょうどうよくじょう)なのですが…まぁ、確かに、共同浴場の看板が掲げられていなければ、到底お風呂には見えない湯小屋ですよね…(苦笑)

このお風呂、訪問時にはまだ「竹下共同浴場」の看板が掛かっていたのですが、現在では前述の福田農場の代表が地域の皆さんのためにと、本浴場の経営権を引き継ぎ、管理運営されているとのこと。ありがたい限りです。

時間は午後5時を過ぎた頃。軽いサッシの引き戸を開くと、中に人の気配はありません。入口には、過去ホテルで利用されていたであろうビデオの料金箱が、入浴料を集めるために使われていました。まさかこんなところで第二の人生(箱生?)を送るとは、彼自身も想像しなかったことでしょう。

200円を箱に預け、休憩室などが備えられた母屋を右に進むと、家風呂の様な脱衣場の向こうにお目当てのお風呂がありました。

湯小屋右手の温泉タンクから数メートルと大変近い距離にある浴槽へは、源泉で45℃程の透明な湯がそのまま掛け流されており、大人が3人も入ると窮屈な浴槽を常に新しくしています。床にはびっしりと白い析出物、浴場の雰囲気をぐっと盛り上げます。

さっと身体を流し、湯船に身を預けると、素直な湯心地が迎えてくれました。夏の訪問だったことから少し熱めではありましたが、想像よりもさらっとした肌触りです。

口に含むと若干の塩気を感じるあたりは分析表の通りなのですが、塩の湯独特の重さは感じず、湯上がりのさっぱり感も十分。いいお湯です。

浴場には筆者の他に誰もおらず、上がっては入るを繰り返すうち、少しづつ暗くなっていく窓辺。湯小屋を離れ、海沿いの「湯の児島公園」へ向かうと、そこには遠く天草の島々を望む不知火海に沈む夕日が見えました。

海から吹く潮風が、湯上がりで軽くなった身体を吹き抜け、どうにも良い心地にさせてくれます。沈みゆく夕日を呆けたように眺めながら、水俣の自然の豊かさを感じる時間は、筆者にとって大変かけがえの無いものでした。

一度は人の手によって汚され、人の手によって再び蘇った海。そして、神代より絶え間なく流れ続ける温泉。自然の恵みと尊さを改めて感じさせてくれた水俣の湯旅は、夕日とともにその一日を終えようとしていました。

※本共同浴場の営業時間は「15:00~19:00までの4時間」です。それ以前は扉が開いていても湯が張られておらず利用出来ませんので、お越しの際はご注意下さい。

湯の児温泉 福田共同浴場

住所:熊本県水俣市浜4099-1

電話:0966-63-8612

立寄料金:200円

営業時間:15:00~19:00

定休日:不定休

泉質:ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉

アメニティ:なし

駐車場:あり

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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