【入湯記】【熊本】満願寺温泉 川湯

古式ゆかしき山里に「日本一の露天風呂」あり

✔ 鎌倉以来の古刹を名に持つ伝統の湯

✔ 日本一恥ずかしい温泉の誉れも高い

✔ 入浴料は脱衣所?備え付けの箱へ

✔ 車は近隣の公共駐車場へ停めよう

「満願寺温泉」(まんがんじおんせん)は、北条得宗家より鎮西奉行として肥前熊本へ下った阿蘇氏の祖、北条時定(ほうじょうときさだ)が、文永11年(1274年)に建立したと伝わる「立護山満願寺」(りつござんまんがんじ)をその名に冠し、同山の開闢以来続くとされる、歴史と伝統ある温泉郷です。

現在は、同じ住所地に所在する黒川に温泉地としての名声を譲り、数件の宿が点在するのみの鄙びた山里となったここ満願寺に、「日本一の誉れも高い名湯」があります。

その名も「満願寺温泉 川湯」。温泉好きの諸兄なら一度は耳にしたことがあると思いますが、ここは「日本一恥ずかしい露天風呂」としてその名を知られる共同湯です。

集落を貫く満願寺川へせり出すように設えられた屋根の下に、コンクリ打ちっぱなしの洗い場らしきものがあり、それに囲まれる形でいくつかの湯船らしきものがあるという、果たして護岸なのか川なのか、一見してよく分からないこれこそが、多くの温泉愛好家を引きつけてやまない名湯なのです。

満願寺から川湯に向かう間には、地元の皆さんに普段のお風呂として利用されている立派な内湯もありますが、今回ご紹介するのはこちらでなく、当然「日本一」のほう。

今日は見事な五月晴れ。いろんな意味で開放感満点の露天風呂、楽しみですね。

内湯を行き過ぎ、鄙びた旅館の前にたどり着くと、そこには足元にスノコが敷かれた作り付けの脱衣箱がありました。

入浴は向こうの柱に備え付けの料金箱へ200円を収めてから。

そして、貴重品の管理にはくれぐれもご注意を。もし万が一の事があった場合、勿論そのままの姿で追いかけられないですし、追いかけた場合に御用になるのは、むしろこちら側という話になりますので(苦笑)

訪れた時には、二人の男性が川湯から上がろうとしていたのですが、どうやらその二人、内湯から全裸で川湯へ来たらしく、前だけ隠すと筆者の眼の前をダッシュで戻っていきました。そんな風景も川湯ならではのこと、ですね。

さて、筆者もひとっ風呂、お借りすることにしましょう。

着物を脱ぎ、脱衣所から下る階段を降りきると、そこからはもう浴場。

目前を流れる満願寺川より一段(といっても、ほんの数センチ程度ですが)高いところに湯面がある以外は何もなく、そこには、ただ湯との触れ合いがあるだけという潔さ。なんだかグッときますね。

ちなみに、現在も源泉は足元湧出という川湯には、浴槽の他に地域の方がお使いになる洗い場が用意されており、昨秋にここを訪れた際には(冬前ということもあってか)数名のご近所さんが食器や鍋を洗う姿を見かけました。

かけ湯の後、湯船へ身体を預けると、ぬるめのお湯が筆者を迎えてくれました。もし内湯と同じであれば、泉質は弱アルカリ性の単純泉。すこしスベ感の残る優しい湯心地です。

そして、この開放感。いや、非日常感、と言った方が適切なのかもしれません。

満願寺川を挟んで数メートル先に向こう岸が迫り、ご近所さんの軽トラや、郵便のバイクがガードレール越しに通り過ぎていく様子に改めて、特別な場所へ来たらしい、という感覚を覚えます。

ゆっくりと湯に身を揺蕩うこと、しばらく。

そのうち、果たしてこれは非日常なのか、ということに疑問を持ち始めました。

確かに、余所者にとっては特別な入浴体験なのでしょうが、地元の皆さんにとっては、数百年もの間、野菜や鍋釜を洗い、身体を流す日常の供であったからこそ、現在に川湯が伝えられたと考えれば、余人の戯言が入り込む隙はなさそうに感じるのです。

余計なことは考えず、ただお湯を楽しませて頂くだけでいい。そう思い直し、水面と変わらぬ湯船から、少しづつ高さを増し始めた5月の空を眺める…なんとも充実したひとときです。

幾星霜を経て、地元の皆さんによって大切に守り育てられてきた満願寺温泉の川湯は、日本一恥ずかしい露天風呂である前に、日本一地域の皆さんに寄り添う温泉なのかもしれません。

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訪問日:2018年5月15日

満願寺温泉 川湯(まんがんじおんせん かわゆ)

住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺

電話:なし

立寄料金:200円

営業時間:6:00~22:00(満願寺川の増水時は入浴不可)

定休日:不定休

泉質:表示なし

アメニティ:なし

駐車場:あり

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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