【入湯記】【大分】長湯温泉 ガニ湯

温泉街のど真ん中。芹川河原の混浴露天は、カニも驚く炭酸泉

✔ 長湯温泉街の中心にある混浴露天

✔ 料金無料で24時間楽しめる

✔ 脱衣場?は橋の下にあり

✔ 入浴時はタオル・水着の着用可

前回のお話 【入湯記】【大分】長湯温泉 湯屋 天音

長湯温泉(ながゆおんせん)の起こりは古く、奈良時代にまで遡ります。

8世紀中頃に記された「豊後国風土記」には、当時「直入郡」(なほいりのこおり)と呼ばれていたこの地に、二つの湯の川が流れるとの記録が残されており、以来1,300年近くに渡ってお湯の歴史を繋いでいます。

近年まで「湯原」(ゆのはら)という名であった長湯温泉は、安土桃山時代に豊後国を支配した大友家の一党である朽網氏(くたみし)がこの地を治め、温泉奉行を置いたとの伝聞があり(七里田温泉館にその旨掲示あり)、徳川氏による大友家の廃籍後は、幕末まで直入を治めた豊後岡藩・中川家の差配により、藩主だけでなく一般の藩士まで利用可能な官制の湯殿(現在の御前湯)が置かれるなど、支配層による積極的な温泉保護が行われてきました。

明治以降、湯治を目的とした宿が御前湯周辺の芹川(せりかわ)沿いに多く作られましたが、知名度の低さとその立地から、当時の別府や湯平程多くの客を集めるに至らなかった湯原に、昭和の始め転機が訪れます。

昭和6年(1931年)、九州帝国大学・別府温泉治療学研究所(現在の九州大学病院別府病院)の松尾教授らにより、この地の温泉調査が行われ、湯原の炭酸泉が類まれな泉質であることが明らかにされたことをきっかけに、近隣の温泉地を統合し、名を「長湯温泉」と改めて再出発。以降は「日本一の炭酸泉」をキャッチフレーズに、県内外から多くの湯治・観光客を集めるに至る人気の温泉地となりました。

今回ご紹介する「ガニ湯」も、18世紀始めに御前湯を描いた絵図に、既にその存在を確認することが出来る歴史あるお風呂です。

当時のガニ湯は泉源の枯渇と護岸工事により失われて久しいのですが、河原に湧き出す源泉の成分が長い年月をかけ堆積した「湯とうじ」(析出物の塊)をくり抜いて、そのまま湯船にしたというなんとも豪快なものであったそう。現在は、旧ガニ湯の跡に新造された湯船へ引湯を行い、長湯の観光資源として活用されています。

前置きが長くなりました。今回の長湯湯旅、最後のお風呂はこちら「ガニ湯」で〆ることにいたしましょう。

ガニ湯の入口は、大丸旅館から芹川にかかる天満橋を渡って、食事処であるガニ湯本舗・天風庵を過ぎ、短い橋を超えたあたり。小さな看板が、河原へ続く小道を示しています。

足元に注意しながら護岸の階段を下り、コンクリで設えられた流れ橋を渡りきると…。

先程超えてきた短い橋の下へ辿り着くのですが、実はこの場所が脱衣場。

以前はこの場所に簡易の目隠し、脱衣箱とスノコが用意され、温泉分析表等の掲示があったのですが、今回はそれらの一切が取り払われ、壁面にガニ湯を紹介する看板のみ残されていました。(昨夏の豪雨災害でなんらかのダメージを受けてしまったのかもしれません)

とりあえず、この場所で着衣を解き、一切を自身のケロリン桶に納めたら、靴だけ残してガニ湯へ向かいます。もちろん、前も隠してね(苦笑)

ガニ湯までやってくると、ご覧の通りの開放感。芹川を挟んで対岸の紅葉館・丸長旅館、共同浴場・長生湯、はては天満橋まで広く見通せ、先に通ってきた天風庵沿いの道からも全くの丸見えという始末です。

実際に筆者が湯船に浸かっている間も、通りがかりの観光客の方が足を止め、珍しそうに眺めていかれる姿を見かけました。まぁ確かに、昼の日中からガニ湯に浸かる人は珍しいですから、皆さんの旅の笑い話になれば幸い、といったところでしょうか。

いよいよ入浴。カニを模した湯船は湯とうじで白く色づき、パイプを通して送られる湯が、時折ゴボゴボと音を立てながらかけ流しでくべられながら、湯船を常に新しくしていました。

なお、失われる以前の分析表(平成18年11月分析)を手元で確認したところ、泉温は使用位置(湯船)で37.8℃、泉質は「マグネシウム・ナトリウム・カルシウムー炭酸水素塩泉」とあり、非解離成分が4,884mg、遊離ガス成分(炭酸成分)が953.2mg、あわせた総量が5,837mgと記載されていました。分析表だけでお腹いっぱいになりそうです(苦笑)

元々の泉温が湯船で低いこと、竹田・直入地方は冬に厳しい寒さに見舞われることから、季節を選ぶのがガニ湯への入浴。梅雨頃のこの季節には、ちょうど良い加減で筆者を迎えてくれました。

遊離炭酸も、あと少しで二酸化炭素泉に認められる含有量でしたが、長いパイプを通して配湯されるためか、湯船でその泡付きを体感することはありません。

しかし、成分総量が6g近い湯の実力は流石のもの。さらりと流れるお湯とは裏腹に、しっかりとした浴感を味わうことが出来ました。

梅雨晴れの午後、ガニ湯にひとり。

側を流れる芹川のせせらぎを背景に、四季折々の風景を眺めつつ静かに湯に揺蕩うひとときは、何物にも変え難い貴重な体験です。

皆さんも長湯へお越しの際には、ちょっとの勇気を携えて、ガニ湯を楽しんでみませんか?

素晴らしい入浴体験をお約束しますよ。

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訪問日:2018年6月3日

長湯温泉 ガニ湯(ながゆおんせん がにゆ)

住所:大分県竹田市直入町大字長湯

電話:0974-75-2214(竹田市直入支所 産業建設課)

立寄料金:無料

営業時間:24時間入浴可

定休日:なし(川の増水時は入浴不可)

泉質:マグネシウム・ナトリウム・カルシウムー炭酸水素塩泉

アメニティ:なし

駐車場:なし(近隣の公共駐車場を利用)

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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