【入湯記】【熊本】人吉温泉 旅館たから湯

百年をつなぎ流るる、たからの湯

✔ 人吉温泉最古の湯のひとつ

✔ 高級旅館の内湯が楽しめる

✔ 湯屋は趣ある木造の半地下

✔ 立ち寄りは9時から15時まで

熊本県人吉市(ひとよしし)は、県の最南端に位置し、宮崎県えびの市、鹿児島県伊佐市と県境を接する人口三万二千人程の小都市です。

九州山地に囲まれた人吉盆地は、鎌倉時代の初頭から地頭として入植した相良氏(さがらし)により治められ、以後幕末まで大きな戦乱を迎えることなく古い歴史と文化を繋いできたことから、熊本県唯一の国宝建築「青井阿蘇神社」(あおいあそじんしゃ)や、相良三十三観音めぐりに代表される多くの古刹を残し、その町並みから九州の小京都と呼ばれています。

また、市内中心部を流れる球磨川(くまがわ)は「日本三大急流」のひとつとされ、船頭の鮮やかな竿さばきで、流れの早い川下りを楽しむ「球磨川下り」や、さらに下流域をゴムボートで豪快に下るラフティングなど、自然を活かしたアクティビティも盛んな観光の街でもあります。

そして、人吉は古来、肥後、日向、薩摩を結ぶ交通の要衝として栄えてきたことから、この地の温泉も宿場町であることを背景に発展してきました。

人吉温泉の発祥、と言われるのが市中心部から少し離れた場所にある、温泉町(おんせんちょう)で明治に創業した「翠嵐楼」(すいらんろう)。初代が温泉を掘り当てたことを始まりとし、鉄道の整備以降、人吉は宿場町としての機能を失いつつあったことも起因して、以降昭和にかけて温泉を資源とした観光都市へと姿を変えていったのです。

そして、今回ご紹介する「旅館たから湯」も、そんな歴史を背景とするお風呂のひとつ。翠嵐楼のすぐ隣に所在する老舗の旅館で、創業が明治の終わり頃といいますから、ざっと百年以上この場所でお湯の歴史を刻んできたことになります。

元々は温泉を供する施設であったことを始まりとし、その後に旅館としての機能を追加したというたから湯。現在は、お泊りだと二食付きで結構なお値段のする、大変高級なお宿なのですが、有り難いことに立ち寄りも500円で使わせて頂けると聞いてお邪魔してきました。

訪れたのは、午後いちばんの時間。庭の木々をくぐって石畳を抜け、辿り着いたのは明るく開放的なエントランスでした。ゆっくりと上るスロープ状の玄関は年配の方にも嬉しい配慮ですね。

エントランスすぐのロビーには、ル・コルビジェの代表作である「LC1」が並べてあったりと、おおよそ外観から想像される鄙びた旅館の面影はなく、徹底して和モダンを求めた新しい宿という印象を受けました。

本当に立ち寄り出来るのか、いささか心配になって受付の女性に伺うと「どうぞ、お風呂はすぐ右手です」とのこと。よかった。

ちなみに、この玄関が湯屋に近いことを不思議に思い、後から宿の方にお伺いしたところ、改装時に新たに開かれたもので、以前の玄関は正面向かって左に現在も残されていました。(通常、この時代の湯屋は、湿気などで痛んだ場合に建て替えることを前提として、玄関口から遠い場所に離れとして用意されることが多いのです)

では、遠慮無く、お借りすることにしましょう。

受付で500円をお支払いし、湯屋の木戸をからりと開けると、そこには今まで見たこともない空間が広がっていました

大きな窓から差し込む光で満たされた開放的な湯屋は、脱衣場から地下の浴場に繋がる階段、洗い場までが美しい木造りの設え。控えめな大きさの湯船にはしずしずとと人吉の湯が注がれ、その景色は訪れるものの目を存分に楽しませてくれます。

泉質は分析表を見なかったため、よくわからずに湯浴みを終えたのですが、正直、そんなことはどうでも良くありました。

全身でゆっくり柔らかい湯の感触を味わいつつ、湯船の縁に頭を預けて高い天井を独りぼーっと眺めていると、成分はおろか、浮世のことなどどうでもよくなる、まさに極楽の心地でありました。

僕にはけっして見えないけれど、実は隣で美しいお風呂の神様が一緒にこのお湯を楽しんでいて、僕の呆けた顔を見て笑ってるんじゃないだろうか。

ぼんやりとそんなことを考えながら、たから湯の時間は過ぎていったのでした。

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人吉温泉 旅館たから湯(ひとよしおんせん りょかんたからゆ)

住所:熊本県人吉市温泉町湯ノ元2482

電話:0966-23-4951

立寄料金:500円

営業時間:9:00~15:00

定休日:不定休

泉質:ナトリウムー炭酸水素塩泉・塩化物泉

アメニティ:あり

駐車場:あり

 

※記事中の情報は公開日時点のものです

※本記事は、過去別メディアへ投稿したオリジナル記事を、編集の上再掲したものです

 

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