【入湯記】【大分】下郡温泉

極上のモール泉は、アーティスティック・スイミングの夢を見るか?

✔ 工業団地内に開かれた温泉銭湯

✔ 画家・宮崎勇次郎氏の見事な壁画

✔ 泉質は塩類系の弱アルカリモール泉

✔ 小さいながらサウナも楽しめる

「一富士二鷹三茄子」(いちふじにたかさんなすび)と言えば、乱世を収め天下人となった徳川家康に因み、初夢に見ると縁起の良いものとしてよく知られていますが、ここ大分市の下郡にも、見るだけで初夢気分が味わえる、不思議な壁画を備えた一軒の温泉銭湯があります。

それが今回ご紹介する「下郡温泉」(しもごおりおんせん)。元々不動産業を営むオーナーが、熱帯魚の繁殖用に掘り当てたという泉源を転用して開いたというお風呂で、40年以上を経てなお、地域の人々をはじめ多くのファンに愛され続けています。

大分の主要幹線である国道10号線、別府方面から大分駅前を過ぎ、大分川を渡り下郡バイパスへ入って直ぐ。現在は工業団地としての色彩も薄れかかった地域にあるこちらのお風呂を訪れたのは、夕方も6時を過ぎた頃でした。

バイパスには家路を急ぐ長い車列が続き、温泉敷地の駐車場にも多くの車が泊まっていました。お風呂も流石に賑やかだろうと、今回も半ば浴場の写真を諦めつつ、番台の女性に入浴料をお手渡し。向かって右の扉から男湯へ向かいます。

扉を開いて驚いたのですが、入口すぐの脱衣所はしんと静まり返り、空の脱衣カゴを見ると、どうやらこの時間の男湯は筆者だけの様です。

浴場へ通じるサッシのガラス越しに人が居ないのを確認し、慌てて撮影の旨をお願いすると、番台の女性は快く許して下さいました。

時間が惜しいと靴下のみ脱ぎ払い、スマホを構えて何枚かパチリ。そこには、ここ2年近くの間何度も通って、初めてこの壁画が撮影出来たことに興奮を隠せない筆者がいました。

裾野に雲をたなびかせ、蒼天にそびえる霊峰富士。そして、小島の松に遊ぶ鷹の姿…までは、いかにも銭湯の壁画といった佇まいですが、湖面から飛び出す二人のアーティスティックスイマーが、見るものに強烈なインパクトを与えるこちらの作品は、オーナーのご子息であり、東京を中心に活躍する画家・宮崎勇次郎(みやざきゆうじろう)氏の手によるもの。

自ら「背景絵師」を標榜する氏の作品は、独特の世界観を大きな号に際限なく広げつつ描くことを最大の特徴とし、その中でも「富士山」は、特別なモチーフとして、自身が小さい頃から慣れ親しんだ「実家の風呂」の影響を色濃く残すと言われています。

トラディショナルの枠を軽く飛び超え、アーティスティックな領域にふわり着陸する氏の壁画は、この下郡の湯に独特の個性をもたらし、強く人を惹き付ける魅力を備えているのです。

写真のお礼とともに、番台さん、いや画伯のお母様に「ご子息の作品ですよね」と筆者が問うと、「3日くらい前まで大分に帰ってきてたんだけどね。もう東京に帰っちゃった」とのお返事。もう少し来るのが早ければ、画伯にお会い出来たかもしれないんですね。残念でした…。

さて、どうしても壁画に話が集中する下郡の湯ですが、もちろん魅力はそこに留まりません。

浴場には小さいながらも電気式のサウナ(2名定員)を備えており、洗い場奥に置かれた水のバスタブにざぶんと浸かり、またサウナへ戻るというルーティーンで使用する様になっています。

利用者の要望に沿って置かれたものと推測しますが、おもむろに置かれたバスタブは初見にシュールな印象を受けるかもしれません(苦笑)

そして、壁画に負けず劣らず下郡の湯に強烈な個性を与えるのが、かけ流しで提供される極上のモール泉。

分析表に定かでなかった為、流量ははっきり分かりませんでしたが、源泉の蛇口からはかなりの勢いで湯船に注がれ、常に天草石の床を濡らし続けていました。

大分市内の温泉施設は、一部の例外を除き、モール泉質に振った湯であることが多いのですが、こちらは浴槽の底が見通せない程の色の濃さと独特のぬるすべ感を誇り、しかも炭酸水素塩泉ではなく「ナトリウムー塩化物泉」であることを大きな特徴としています。

モールは微かに香る程度で、泉質特有の油臭が苦手な方にも安心。滑らかで優しい肌触りを楽しみながら、湯上がりの保湿も十分な塩類系のお湯を存分に味わうことが出来るのです。

筆者が写真を取り終え、洗い場で身体を流すうち、ひとり、また一人と浴場には利用者さんが増え、下郡の男湯は賑やかな様子を取り戻しました。

他の利用者さんに混じって、湯船から壁画を見上げるうち、今回始めて気づいたことがありました。それは、壁画の中に存在しない「茄子のありか」です。

壁画の上部、蒼天に隠れる様に青文字で書かれていたのは「Eggplant is on your side」の一文。なるほど、茄子は我々のすぐ側にあった、ということなんですね(苦笑)

強い個性を主張する極上のモール泉と、独特の色彩でユーモアと世界観を表現する宮崎勇次郎氏の壁画。その二つが心ゆくまで楽しめる下郡の湯は、まみえる者に素晴らしい入浴体験を与えてくれることでしょう。

お近くへお越しの際は、(男湯限定で申し訳ないのですが)是非「湯船で見る夢」をお楽しみ下さい。

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訪問日:2018年6月23日

下郡温泉(しもごおりおんせん)

住所:大分県大分市下郡下郡工業団地

電話:097-569-2848

立寄料金:大人(中学生以上)380円 / 小学生 150円 / 小学生未満 70円

営業時間:14:00~23:00

定休日:なし

泉質:ナトリウムー塩化物泉

アメニティ:あり(ドライヤーなし)

駐車場:あり(30台)

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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