【入湯記】【大分】川底温泉 蛍川荘

歴史ある湯船が伝える川底は、澄んだ湯の湧く清らかな湯

✔ 渓流・町田川沿いに佇む九重の名湯

✔ 川底の湯船は160年の歴史を誇る

✔ 透き通るお湯が楽しい単純泉

✔ 九州温泉道対象施設。湯印帳持参で

大分県の中西部に位置する「玖珠郡九重町」(くすぐんここのえまち)は、1,700m級の標高を誇る九重連山(くじゅうれんざん)を望み、県境を熊本の阿蘇地方と接する高原の街です。

町内の全域を「阿蘇くじゅう国立公園」に含むことから、飯田高原(はんだこうげん)や九酔渓(きゅうすいけい)など、高地ならではの雄大な景色が楽しめる他、日本一高い歩行者専用の吊橋である「九重”夢”大吊橋」(ここのえ”ゆめ”おおつりばし)も良く知られ、年間を通して自然に親しむ観光客で賑わうこの町は、通好みの名泉が居並ぶ「温泉の町」でもあります。

その「温泉の町」を支えるのが、現在も火山帯として緩やかな活動を続ける九重の山々。日本最大の地熱発電所として知られる「九州電力・八丁原地熱発電所」(きゅうしゅうでんりょく・はっちょうばるちねつはつでんしょ)の莫大な熱源であるだけでなく、「筌の口温泉」(うけのくちおんせん)や「宝泉寺温泉」(ほうせんじおんせん)に代表される町内9つの温泉郷「九重九湯」(ここのえきゅうとう)に、たゆまぬ湯の恵みをもたらし続けているのです。

今回ご紹介する「川底温泉 蛍川荘」(かわぞこおんせん けいせんそう)も、そんな湯の恵みの一つ。法泉寺温泉の中心部から少し離れた場所に位置し、都を追われ太宰府に流れた菅原道真(すがわらのみちざね)公が、この地に身を隠した際に発見したという一湯で、以来この地で数百年の歴史を繋いでいます。

訪れた日は生憎の雨。前日からの雨を集め、深さを増す渓流・町田川。蛍川荘の湯小屋は、その河原を降りきった場所にありました。

湯小屋こそ平成28年のリニューアル時に改められましたが、江戸後期に造られたという石組みの湯船はそのままに、人が自ら近づかなければ湯の恵みを得ることが出来なかった頃と同じ場所で、今も訪れる人々を迎えているのです。

駐車場で一組のご家族とお会いしました。お湯をご一緒させて頂くことになる皆さんにご挨拶。ご家族を先にお通しした後、湯小屋のすぐ目の前にあるプレハブで入浴料をお支払いし、筆者も後に続きます。

玄関すぐに下足箱。そして、短い廊下の向こう、脱衣場に続く暖簾の前に、小さな鍵付きの貴重品ボックスが用意されていました。数に限りがありますので、数名で入浴の際にはまとめて収めると良いでしょう。

暖簾をくぐると、そこはコンパクトながら清潔に保たれた脱衣場。居並ぶカゴの多さから、こちらのお風呂の人気ぶりが伺い知れるというものです。(画像は利用者さんにお断りの上撮影させて頂きました)

浴場へ一歩足を踏み入れると、すぐ手前に二人が同時に使える程度の小さな湯船。そして、ぐるり巡らされた真新しい木の壁に沿う様に、奥の浴場へと通路が続いていました。少し不思議な構成です。

これは、蛍川荘の名物であった石造りの三段浴槽を、湯小屋の新装時に改めての作りであるそう。以前は一つの広い浴場を混浴として供していましたが、男女を問わず広く皆さんに楽しんでもらいたいという配慮から、仕切りを設けて一番奥の湯船を男性用に、中央を女性用にとしつらえ直したのだとか。

江戸期から続く歴史ある三段湯船を、そのままに観てみたかった気もしますが、その時代のニーズとともに移り変わるのも、暮らしに根ざしたお風呂の役目。先代からお風呂を引き継がれた現オーナーさんのご配慮に、筆者も深く感じ入るところです。

現在は通路となった元の洗い場をひたひた歩き、たどり着いた一番上流の湯船。今も足元から湧出するという少し熱めの湯が、趣ある石造りの湯船をいっぱいに満たしていました。

驚くほど透明な湯を通して湯船を覗き込むと、足元には大小様々な川石が敷き詰められ、石畳の洗い場とともに往時の名残を強く感じさせます。

湯小屋の山側には一段上がった場所に、シャワーを備えたカランの用意もありますので、湯船を汚さないためにも、身体はそちらで綺麗にされると良いでしょう。

湯船で先程のご家族のうち、年配の男性と再会しました。どちらからともなく、男同士の話がはじまります。

男性は大分市内にあるお寺のご住職で、今日は娘さんに連れられ、奥様と三人で湯巡りを楽しまれていると教えてくれました。筆者の出身を尋ねられ、京都の生まれで、以前宮崎に勤めしていたことなどお話すると、ご住職は出身が宮崎で、京都へはお寺の本山があるためよく上京するのだと、双方に意外な共通点でつながりがあることを知りました。

孝行な娘さんと湯めぐりなんて、本当に素敵なご家族ですね、と筆者。ありがとう、と顔をほころばせるご住職。壁の向こうからも、筆者の連れと、住職のご家族の笑い声が聞こえます。

お湯が繋いだ縁(えにし)と言うべきか、九重の山中で素敵な出会いを見つけたことに、湯心地以上の喜びを感じたのはいうまでもありません。

どこまでも透き通る湯に包まれながら、この湯屋に魅せられ集う人と語らうひとときは、何物にも代えがたく貴重な時間でありました。

江戸の終わりに、村の庄屋が人々のために作った石造りの湯船は、今も変わらぬ湯の恵みで、人々の癒やしと出会いを繋ぎ、これからも、新しい歴史を紡いでいくことでしょう。

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訪問日:2018年6月19日

川底温泉 蛍川荘(かわぞこおんせん けいせんそう)

住所:大分県九重町大字菅原1453

電話:0973-78-8235

立寄料金:大人 500円 / 小人 300円

営業時間:10:00~18:00

定休日:なし

泉質:単純温泉

アメニティ:あり

駐車場:あり

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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