【入湯記】【別府】大和温泉

まん丸湯舟が愛らしい、裏路地鄙びの共同湯

✔ 鄙びた風情が残る共同浴場

✔ まん丸小ぶりな湯舟にクリアな湯

✔ 12時~14時は清掃のため入湯不可

✔ 温泉道スタンプは正面の管理室で

✔ 駐車場なし。公共交通機関を利用

泉都の鉄路の玄関口、JR日豊本線・別府駅から徒歩で6分ほど。富士見通りに向けて高架下を進み、海側へ一本奥に入ると、夜は仄かな明かりに照らされる一軒の湯小屋が姿を現します。

「大和温泉」(やまとおんせん)は、戦後すぐの頃に開かれた別府では比較的新しい共同浴場で、聞くところによると、湯小屋も開湯当時のものを少しづつ養生しながら利用しているという、まさに地元に根差したジモ泉の一つです。

その鄙びた湯小屋の佇まいと、浴場でまみえるなんとも可愛らしい湯舟が人気を呼び、地元の皆さんだけではなく、県内外から広く温泉ファンを集める一湯として、日々多くの利用者を迎え入れています。

この日、大和を訪れたのは21時を少し回った頃でした。立派な扁額の掛けられた趣のある玄関からは、浴場の光こそ漏れ出るものの、湯の流れる音は聞こえず、随分と静かな様子です。

入浴料の100円は、湯小屋正面の管理室に備えの箱に収めます。別府八湯温泉道のスタンプもこちらにありますので、入浴の際には忘れず押しておきましょう。

湯小屋はお大師さん(お薬師さんにあらず)を正面に見て、左に女湯、右に男湯の設え。お大師さんに手を合わせ、お参りを済ませたら、いよいよ浴場へ向かいます。

緩やかに下る階段の先、半地下に広がる浴場は、別府の古い共同湯によく見られるスタイル。お風呂が動力に依らず、自然湧出でお湯を得ていた頃の名残りです。

その昔、別府で近代的な温泉開発が始まる以前は、数メートル掘り下げれば湯が湧き出ていたという話もあり、当時は機械の力を借りずとも、この造りで十分必要なお湯を得られていたのでしょう。いやはや、なんとも贅沢な話です。

階段を降りきった壁沿いに靴箱と脱衣箱が並び、横長のスノコが脱衣場の代わり、というのも別府でよく見る共同湯のかたち。良く見知ったいつもの景色に、なんとも心落ち着くのを感じます。

脱いだ着衣を箱に預け、ぐるり見回す浴場は、半地下ゆえの高い天井のせいか、外から見る湯小屋の姿より随分広々とした印象。美しい緑に染められ、高く居並ぶ木枠のガラス窓も、静かに湯小屋の歴史を物語るように、別府の共同湯が賑やかだった昔の記憶へいざないます。

そして、特筆すべきは浴場の中央にちょこんと居住まう真ん丸の湯舟。細い風呂縁をえび茶のタイルで彩ったその姿はとても愛らしく、見る者の笑顔を誘います。

足を延ばして湯舟に浸かれるのは二人がやっと、という広さもご愛敬。それもこの湯の個性だと、妙に納得してしまう自分がいるのを、いつも奇妙に感じるのです。

当日は独泉。さっと流した後、真ん丸湯舟に身体を沈ませると、しばらく誰も入らなかったためか、少しぬるめの湯が筆者を包み込みます。

熱すぎず、ぬる過ぎず。程よい温度の大和の湯は、単純泉ならではの素直な肌触りと相まって、まだ熱冷めやらぬ夏の夜の湯浴みに、一際涼やかな湯心地を与えてくれました。

湯船の縁に頭を掛け、ぼんやりと天井を見上げてひとり。湯溜めを開き、新しい湯を足そうかと考え、はたと思い留まりました。

小さな湯船と、すこし温めの澄んだ湯を独り占め。その日の筆者には、もうそれだけで十分過ぎるほどの贅沢。これ以上何かを望むことが、なんだか烏滸がましく感じられたのです。

日々当たり前にお湯が借りられること、それが何よりの贅沢であることを、長い歴史を刻む湯小屋で改めて気付く。

そんな夏の夜の湯浴みは、ただひっそりと夜の帳の彼方へ流れ過ぎて行ったのでした。

別府温泉の宿をお探しなら
250社の予約サイトから料金を一括比較
お得な宿泊プランをご案内
www.trivago.jp

訪問日:2018年7月26日

大和温泉(やまとおんせん)

住所:別府市野口元町9-15

電話:0977-67-0014

立寄料金:100円

 

営業時間

4~10月 6:00~12:00 / 14:00~23:00

11~3月 6:30~12:00 / 14:00~23:00

 

定休日:なし

泉質:単純泉

アメニティ:なし

駐車場:なし

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

ふろブログは人気ブログランキングに参加中です。更新の励みになりますので、もし記事を気に入って頂けたら、バナーのクリックをお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です