【入湯記】【別府】九日天温泉

お湯と歴史を語り継ぐ、別府田の湯の共同湯

✔ 別府でも有数の歴史を誇る共同浴場

✔ 泉質は湯心地素直な炭酸水素塩泉

✔ 12時~14時は清掃のため入湯不可

✔ 車で利用しやすい、駐車場8台完備

別府駅西口から、山手へ向かって徒歩7分ほど。その名も「九日天通り」(くにちてんとおり)と名付けられた旧道をしばらく上った辺り、緩やかなカーブの角に夜も明るく客を迎える一軒の湯小屋が姿を現します。

この赤い郵便ポストに白壁のコントラストが印象的な共同浴場、その名を「上田の湯九日天温泉」(かみたのゆくにちてんおんせん)といい、明治42年(1909年)に発刊された「別府温泉誌」(国立国会図書館のアーカイブにリンクします)にも、不老泉や海門寺温泉などと並んでその名を見ることが出来る、別府でも古い歴史を誇る温泉のひとつです。

余談ですが、当時から皮膚病への効果が知られ、多くの利用者を集めていた九日天は、別府における温泉治療の効果が広く世間に認められた結果、明治の終わり頃に開かれた旧陸軍病院の分院(現在は廃院)に泉源を接収され、一般の利用が出来なくなった後、太平洋戦争後になってようやく今の姿を取り戻したという風変わりな経歴を持っています。なるほど、歴史ある一湯ならではのエピソードですね。

そんな九日天を訪れたのは、21時少し前のこと。当日は食事の帰りに車で立ち寄ったのですが、駅チカの共同浴場には珍しく、湯小屋の前に併設の公民館と共用の駐車場を8台分備えるこちらのお風呂、車で移動の多い筆者には大変ありがたいお風呂の一つでもあります。

いつもの番台さんに110円をお渡しし、向かって左の男湯にちらと目を遣ると、何足かの履き物が脱ぎ置かれているのが見えました。今夜もいつも通りの賑わいぶりです。

脱衣場は他の共同浴場と同じく浴場と一体の別府スタイル。壁面に設えられた純白の脱衣箱は一際目に鮮やかです。

ひとつだけ他のお風呂と異なるのは、脱衣箱の下部に靴を置く棚が用意されないこと。靴を片づけず、ただ揃えて置いておくだけというのは、どうも良くないことをしている気がして、いつも不思議な心地にさせられます(苦笑)

浴場は脱衣場から一段下がった場所にあり、大人が4人は足を延ばして入れそうな大きさの湯舟が、縦に長く切り取られています。そして、女湯とを隔てる壁沿いの湯枡からは、百年を超えて湧き続ける源泉が滾々と掛け流され、浴槽を常に新しくしていました。

まずは、先客の皆さんにご挨拶。見慣れた顔ではない筆者にも、皆、笑顔でこんばんはと返してくれます。身体の前に、まず心から温かくなるのが別府のお風呂、なのです。

そんな九日天の名物といえば、黄色い札に書かれ、浴場のあちこちに点在するマナー掲示。

洗い場の壁には「一、体の前後をよく洗ってはいりましょう」、湯枡の上には「五、お湯は、少しづつだしておきましょう」など、その順の意味するところは良くわかりませんが、他の共同湯では一所にまとめられているものが散らばっているのは、何とも面白く、いつも目で追ってしまうのです。

もっとも、順の意味は一旦置いて、その都度、順に目で追ってしまうという点で、この掲示を考えた方の目論見に嵌ってしまっていることは間違いなさそうです。

他のお客さんに混じって一日の汗を洗い流し、ゆっくりと湯船へ身体を滑り込ませると、この日もしっかり熱めの湯が筆者を出迎えてくれました。

泉質は炭酸水素塩泉。療養泉としての基準は十分に満たしつつ、濃すぎることのない九日天の湯は、夏には嬉しいさっぱりした浴感で楽しませてくれます。

上がっては入るを繰り返しながら、他愛もない話を交わすうち、一人、またひとりと上がっていくお客さん。何度目かのおやすみなさいの後に、筆者一人が残されました。

そろそろ最後のひと浴びを。すっかり熱に慣れてしまった身体を湯に預けながら、今日という日を思い返すひとときは、別府に暮らすことの贅沢さを改めて感じさせる時間でもあるのです。

百年を超えて、今にその歴史をつなぐ九日天の湯。もう少しだけ、ひとり楽しみたいと思います。

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訪問日:2018年8月7日

九日天温泉(くにちてんおんせん)

住所:別府市上田の湯町15-8

電話:0977-21-1304

立寄料金:110円

営業時間:6:00~11:00 / 14:00~23:00

定休日:なし

泉質:ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉

アメニティ:なし

駐車場:あり(8台)

※記事中の情報は公開日時点のものです

 

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